飲酒についてはアルコールとその代謝産物であるアセトアルデヒドは胎盤を自由に通過し、母体血中と胎児血中は同一濃度となります。
したがって、母体が酔っ払っていれば胎児も酔っ払っていることになり、母体が二日酔いであれば胎児も二日酔いの状態であると言えます。しかも胎児はアルコールを代謝する能力をほとんど持っていないため、増幅された全身効果を受けるため、胎児は母体よりひどく酔っているということになります。妊娠中の慢性的なアルコール飲用により胎児アルコール症候群の児が生まれることがあります。
アルコールとアセトアルデヒドの両方が胎児アルコール症候群の発生に関与しているものと考えられます。
わが国ではアルコール中毒の妊婦が少なく、胎児アルコール症候群の発生は少ないと考えられますが、すでに報告例もあり注意する必要があります。
アメリカのピッツバーグ大学の研究グループは、 2002 年 10 月に妊婦の飲酒が、子どもの成育を 10 代に至るまで左右するという少しショックな結論を出しています。
この調査は、 1980 年代から約 570 人の子どもの成長を 14 年間追跡したもので、妊娠後3ヵ月間、週に350cc入の缶ビール 1 本相当というごく少量のアルコールを飲んだ女性の場合、その子どもが 14 歳になったときの平均体重は、飲酒しない女性の子どもに比べて1kg 軽く、毎日缶ビール1本以上のアルコールを飲んでいた女性の子どもは、14 歳時に平均体重が飲酒しない場合より7s軽くなるという結果が出ています。同グループは体重だけでなく、身長や頭の大きさにも飲酒の影響を確認したといいます。研究グループは、「胎児に影響しない飲酒はなく、妊婦は飲酒をやめるべきだ」と指摘しています。
こうした調査結果に過剰に反応する必要はありませんが、妊娠中の飲酒が赤ちゃんのその後の成長に、長期間影響を与える可能性があるということは深刻に受け止めるべきですね。
妊婦の過度の飲酒が、子どもの知能の発達に影響を与えると指摘する専門家も多いです。たった少しの期間の辛抱です。妊娠中には、出来るだけお酒を飲まないように心がけましょうね。
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